パリの妖精
国際的に活躍するバイオリニストのリアはようやく超過密なスケジュールから解放され、カリブ海でのリゾートを満喫中だった。
だが、バカンスは悪夢へと変わった。
偶然にも、同じ場所にセスが来ていたのだ。
リアの脳裏に八年前の苦い思い出がよみがえる。
あんな冷血な男、謝ってきても絶対に許さない。
憤慨する彼女に対して、セスは初対面のようによそよそしかった。
彼にとって、私はその程度の存在だったのね。
それがわかっても、胸に秘めた思いは消えそうになく……。
従妹の結婚披露宴で、マティは、そばでもの思いにふける男性が気になり声をかけた。
彼はセバスチャンといい、ニューヨークの銀行家だった。
男性とは楽しくつき合い、深入りをしないのが、マティのスタイルだ。
悲しいけれど、わたしみたいな人間にはそれがふさわしい。
ハンサムなうえに、ウィットに富んだ会話のできるセバスチャンは、この場かぎりの話し相手としては最高だ。
だがマティは考えてもいなかった。
自分が彼の心に、強烈な印象を残してしまうことまでは……。
キムはがらんとした部屋に座り、呆然としていた。
二年ごしの恋人が、置き手紙を残して出ていってしまったのだ。
途方にくれているうちに、キムはふと思いたった。
そうだわ、幼なじみのジャックスに会いに行こう。
キムは昔、なにかにつけ彼を頼り、慰めてもらっていた。
きっとまた昔のように、傷ついた心を癒してもらえるだろう。
しかし、久々にジャックスに会ったキムの心は激しく揺れた。
彼はこんなに男らしくハンサムで、セクシーだったかしら?テイはロンドンのアパートに女友達と住んでいた。
友達が出ていき、ルームメイト募集の告知を貼りだした直後にやって来たのは不機嫌で無口な背の高い男性、マグナスだった。
マグナスは画家だと言うわりには仕立てのいいスーツを着ているし、一度も作品を見せてくれない。
そしてテイのデートに冷ややかな態度で口をはさんでくる。
「昨日はクームズ社の御曹司、今日はフレイザー社の若手社長か」ちがうわ、いつもの私はこうじゃない。
あなたが私を動揺させるから!父親を知らず、母も早くに亡くしたケーシーは施設で育った。
二十四歳になった彼女に、母の友人が父の名を明かす。
ジョック・マキヴァー――奥地で権勢をふるった有力者だ。
ケーシーは真実を探るため、奥地へと旅立った。
途中、果てしなく広がる荒野で、一人の男にでくわす。
とっさに身構えたが、すぐにならず者ではないとわかった。
ケーシーにとって、危険を感じさせない男は彼が初めてだった。
トロイと名乗ったその男に、ケーシーは生まれて初めてときめきを感じた。
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